酸熱トリートメントについて
酸熱トリートメントとは?
酸熱トリートメントとは、痛んだ髪から抜け落ちてしまった成分を補い、髪にハリとコシを与える新しいトリートメントです。「髪質改善トリートメント」ともいわれています。
髪の毛は1本1本が海苔巻きのような3層構造になっています。中心には海苔巻きの具にあたる芯があり、具を取り巻くお米のようにタンパク質の層があり、表面は海苔にあたる薄い膜で覆われています。化学用語では、芯の部分をメデュラ、周囲を覆うタンパク質をコルテックス、表面の膜をキューティクルといいます。
痛んだ髪の毛は、例えるなら海苔巻きの海苔があちらこちら破れてしまった状態。すると、お米部分にあたるタンパク質が流れ出してしまい、内部がスカスカになってしまいます。その痛んだ髪の毛の中にできた空洞が、ダメージホールです。
海苔が破れてお米が飛び出し、スカスカになった海苔巻きを想像してみてください。まっすぐな状態を保つことができず、少し触っただけで海苔の破れが広がり、やがて千切れてしまうことでしょう。見た目にもボロボロで、美味しそうとは思えないはずです。
傷んだ髪も同じです。内部がスカスカになっているので、うねりや切れ毛が起こるのです。表面を覆うキューティクルも破れたり剥がれたりしているので、見た目にもツヤがなくパサついてしまいます。
このスカスカになった髪の空洞を、新たなお米で補修するのが酸熱トリートメント。空洞を埋めるだけでなく、熱によって残っているお米としっかり結びつけて、健康な状態の髪に近づけてくれます。
酸熱トリートメントで解消される悩み、得られる効果は?
酸熱トリートメントで得られる効果には、このようなものがあります。
・傷んだ髪のダメージホールが補修される
・髪のキューティクルが整えられ、髪にツヤが出る
・髪の水分量が保たれ、ハリとコシのある髪質になる
・髪の毛を引き締める効果で、髪のクセが軽減する
・一般的なトリートメントより、効果が長続きする
酸熱トリートメントをすると、髪の中にある空洞が埋まり、みっしりと詰まった状態になります。髪の毛1本1本が水分をしっかり保持できるので、健康な髪と同じようなハリとコシのある艶髪になるのです。
ダメージによってパサパサに乾燥してしまったり、チリチリになってしまった髪の毛も、酸熱トリートメントで美しい見た目が取り戻せます。髪の毛のダメージが気になる、髪の毛のツヤを取り戻したいという方におすすめです。
また酸熱トリートメントは、髪の毛を引き締める効果もあります。そのため、髪を濡らしたときに消える程度のクセ毛なら、改善できると言われています。
さらに酸熱トリートメントには、一般的なトリートメントよりも効果が持続しやすいという特徴もあります。元の髪質やダメージの程度にもよりますが、1カ月以上も効果が続いたという人もいます。
通常のトリートメントと何が違うの?
一般的なトリートメントは、髪の表面に膜を作る効果しかありません。中身がスカスカの海苔巻きに、上から海苔を巻き直しても、スカスカ状態は解決しません。
サロンで行われているトリートメントの一部には、髪の空洞を埋める成分が含まれていることもあります。しかし、髪の空洞を埋めて蓋をしただけの状態なので、すぐに蓋が破れて穴埋め成分がまた流れ出てしまうのです。
ダメージの強い髪ほど、蓋にあたる髪表面のコーティングも剥がれやすくなります。それを補うため、こまめなメンテナンスが欠かせません。
酸熱トリートメントの薬剤に含まれている成分は、髪の空洞を埋めるだけではありません。熱を加えることで化学変化を起こし、成分同士がしっかりと結びつくようになっています。施術の際は髪に薬剤を塗布した後、ドライヤーとアイロンで髪にしっかりと定着させます。
熱で化学変化を起こさせるため、薬剤には必ず酸性の物質が含まれています。そのため「酸熱トリートメント」と呼ばれているのです。
酸熱トリートメントにもデメリットがある?
いいことづくめに思える酸熱トリートメントにも、もちろんデメリットはあります。
・施術に時間がかかる
・美容師の知識や技術によって、仕上がりに差が出やすい
・髪のダメージが少ない人ほど、効果を感じにくい
・薬剤の臭いが気になる場合がある
・カラーリングが色落ちしてしまう
一番のデメリットは、施術に時間がかかることではないでしょうか。1回の施術で、90~120分程度は覚悟しておかなければなりません。
また酸熱トリートメントの施術では、髪質やダメージの状態を見極めて熱を加えなければなりません。ある程度の技術が必要になるので、美容師によって仕上がりに差が出やすいのです。
ダメージの程度によっては、いくら酸熱トリートメントでもカバーしきれないこともあります。そのため効果が感じられないといったケースも出てきます。
薬剤に含まれる成分によっては、独特の香りが気になることもあります。さらに、カラーリングした髪に酸熱トリートメントをすると、色落ちしてしまうこともあります。
酸熱トリートメントが向いている人、向いていない人は?
《酸熱トリートメントが向いている人》
・枝毛や切れ毛に悩んでいる人
・髪が痛んでハリやコシがなくなってしまった人
・髪にツヤがなくなりパサつきを感じる人
・細く柔らかい髪質の人
《酸熱トリートメントが向いていない人》
・髪のダメージが少ない人
・薬剤に敏感な肌質の人
・臭いに敏感な人
前にも言ったように、酸熱トリートメントは時間のかかる施術です。薬剤によっては独特の香りもあります。そのため敏感肌の人や、臭いが気になる人はには、あまりオススメできません。
また酸熱トリートメントは、髪の毛の内部にあるダメージホールを修復して、健康な艶髪に近づける施術です。そのため、髪のダメージが少ない人には効果が出にくくなってしまいます。
反対に、ダメージが強いほど効果を発揮しやすいといえるでしょう。特に細く柔らかい髪質の人は、酸熱トリートメントで髪にハリやコシを出すことができるのでオススメです。
生まれつきの髪質に戻すのではなく、丈夫な髪質を作り出すのが酸熱トリートメントです。髪質の改善をしたい人にも、酸熱トリートメントは向いているといっていいでしょう。
まとめ
酸熱トリートメントは、ダメージによって髪の中にできた空洞を埋めるだけでなく、熱を加えてしっかりと定着させる施術です。髪の表面をコーティングするだけの一般的なトリートメントとは、まったく違うことがおわかりいただけたでしょうか。
施術に時間はかかりますが、その分、効果が長持ちします。もちろん元の髪質やダメージの度合いによって、どの程度の効果があるかは変わってきますが、枝毛や切れ毛に悩む人、ハリとコシのある髪質に改善したいという人には、オススメの施術です。
ただ、美容師の腕によって仕上がりに差が出てしまうことがあるので、酸熱トリートメントを熟知した美容師のいるサロンで施術を受けましょう。